カタログ冊子を制作する際、多くの企業がまず考えるのは「商品数をたくさん載せること」や「見た目をきれいに整えること」かもしれません。もちろん、それらも大切な要素です。しかし、実際に成果につながるカタログを作る上で、本当に重要なのは“選ばせる設計”です。
カタログは、単なる商品一覧ではありません。
読み手に「どれを選べばいいのか」を自然に導くための、いわば“営業ツール”です。
情報量が多いだけのカタログは、かえってユーザーを迷わせてしまいます。一方で、適切に設計されたカタログは、読み手の視線や感情をコントロールしながら、「これが自分に合っている」と感じてもらうことができます。
この記事では、カタログ制作における「選ばせる設計」の考え方について、デザインの視点から解説していきます。

なぜ「選べないカタログ」が生まれるのか
カタログ制作の現場では、「情報は多いほうが親切」という考えになりやすい傾向があります。
例えば、
・商品をできるだけ多く掲載したい
・スペックを細かく説明したい
・価格や特徴を漏れなく載せたい
・写真も複数入れたい
しかし、それらをすべて詰め込むと、読み手にとっては「どれが良いのかわからない状態」になってしまいます。
人は選択肢が多すぎると、判断を後回しにする傾向があります。
これは「ジャムの法則(選択のパラドックス)」などでも知られている考え方で、選択肢が増えるほど購入率が下がるケースもあります。
つまり、カタログ制作では「たくさん見せる」よりも、「迷わせない」ことが重要なのです。
ジャムの法則
1995年コロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授によって研究された実験。
人は、選択肢が多すぎると、かえって選べなくなり購入や行動につながらなくなるという心理現象を指す。
「選択のパラドックス」や「決定回避の法則」とも呼ばれる。
※スーパーマーケットでのジャムの試食販売実験が法則名の由来となっている。

カタログは“読む”より“探す”媒体
Webサイトと同じように考えられがちですが、カタログ冊子には独特の読み方があります。
多くの場合、ユーザーは最初から最後まで順番に読むわけではありません。
・気になるページを開く
・写真で興味を持つ
・見出しを見る
・価格帯を見る
・比較する
・気になった商品だけ詳しく読む
このような流れで、「探しながら読む」ケースがほとんどです。
つまり、カタログは“情報閲覧ツール”であると同時に、“選択支援ツール”でもあります。
だからこそ重要なのが、
・どこに何があるか
・何がおすすめなのか
・どの商品がどう違うのか
・初心者はどれを選べばいいのか
を、デザインによって明確に伝えることです。

「選ばせる設計」で重要な3つのポイント
1. 比較しやすくする
カタログで最も重要なのは、「比較のしやすさ」です。
例えば同じカテゴリの商品なのに、
・写真サイズがバラバラ
・説明文の位置が違う
・価格の場所が違う
・情報量に差がある
という状態だと、ユーザーは比較にストレスを感じます。
比較しやすいカタログは、情報の配置ルールが統一されています。
これは単なる“見た目の整理”ではなく、「選びやすさ」を作るための設計です。
2. おすすめを明確にする
意外と多いのが、「全部おすすめです」という状態です。
しかし、ユーザーは「どれが人気なのか」「初心者向けはどれか」を知りたいと思っています。
そこで有効なのが、
・人気No.1
・初めての方におすすめ
・スタッフ推奨
・定番商品
・コスパ重視 などのラベル設計です。
これによって、ユーザーは「自分に近い基準」で選びやすくなります。
特に初めて購入する商品や、専門性が高い商品では、“選択の補助線”があるだけで離脱率が大きく変わります。
3. 情報の優先順位をつける
すべての情報を同じ強さで見せると、結局何も伝わりません。
重要なのは、「まず何を見せるか」です。
例えば、
① 写真
② キャッチコピー
③ 商品の特徴
④ 価格
⑤ 詳細
このような順番で視線設計を行うだけでも、読みやすさは大きく変わります。
逆に、
・細かい説明が大量に並ぶ
・文字サイズが全部同じ
・強弱がない
・写真が小さい
というカタログは、“読む気力”を削ってしまいます。
デザインとは、単に装飾することではなく、「何を先に理解させるか」を整理する作業でもあるのです。

「きれいなデザイン」と「売れるデザイン」は違う
カタログ制作で見落とされがちなのが、この点です。
もちろん、美しいデザインは大切です。
しかし、“きれい”であることと、“成果につながる”ことは必ずしも一致しません。
・余白を大胆に使いすぎて情報不足になる
・おしゃれすぎて価格が見つからない
・フォントが細すぎて読みにくい
・世界観を優先して比較しづらい
このようなケースは意外と多くあります。
大切なのは、「見栄え」だけではなく、「読み手がどう行動するか」を考えることです。
その意味で、カタログ制作はグラフィックデザインというより、“情報設計”に近い仕事とも言えます。

Web時代だからこそ、紙カタログの価値がある
近年ではWebカタログやECサイトが主流になりつつありますが、紙のカタログには独自の強みがあります。
例えば、以下のような点が挙げられます。
・一覧性が高い
・比較しやすい
・手元でじっくり見られる
・家族や社内で共有しやすい
・ブランドの世界観を伝えやすい
特に高額商品や住宅設備、法人向け商材など、“比較検討”が重要な商材では、紙カタログが今でも非常に有効です。
だからこそ、単なる商品一覧ではなく、「選びやすさ」を設計したカタログが求められています。
実績紹介
防犯カメラ販売・設置会社様
営業用パンフレット

住宅設備リフォーム会社様
商材パンフレット


まとめ
カタログ制作で重要なのは、「どれだけ載せるか」ではありません。
本当に重要なのは、
・比較しやすいこと
・おすすめがわかること
・情報に優先順位があること
・迷わず選べること
ユーザーは“情報”を求めているようで、実際には“判断材料”を求めています。
だからこそ、カタログ冊子は「選ばせる設計」が重要なのです。
見た目を整えるだけではなく、読み手の行動まで設計する。
それが、成果につながるカタログデザインの本質だと私たちは考えています。
選ばれる理由は、ページの中にある。

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