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脳の仕組みを活かした誘導 ~ワーキングメモリ編~

人が瞬時に理解できるデザインには理由があります。
本記事では「ワーキングメモリ(作業記憶)」に焦点を当て、記憶に残りやすいレイアウトの作り方を脳科学の観点などから触れていきたいと思います。

LP・会社案内・パンフ制作などのデザイン制作で役に立ちます。

目次

■ なぜ“記憶に残るレイアウト”が必要なのか
■ ワーキングメモリとは?
■ 記憶に残るレイアウトの原則
 ① 情報をチャンク化する
 ② 強調は1つだけにする
 ③ リズムとパターンで覚えさせる
 ④ 言葉より図でまとめる
 ⑤ 読み始めの3秒で全体像をつかませる
■ ワーキングメモリを意識すると…
■ 記憶に残るデザインにするためのチェックリスト
■ まとめ

なぜ“記憶に残るレイアウト”が必要なのか

デザインの目的は、ただ「見せる」だけではありません。
私たちが日常的に触れるLP、チラシ、企業サイト、パンフレットなどはすべて、何かを“理解し”、最終的には“記憶してもらう”必要があります。

ところが、現代のユーザーは膨大な情報の中を高速で流れながら情報を判断しています。
SEOで上位表示されても、デザインが“記憶に残らなければ”次の行動にはつながりません。

そこで重要になるのが、脳の一部である ワーキングメモリ(作業記憶)」 の考え方です。

ワーキングメモリとは?

ワーキングメモリとは、
人が一時的に情報を保持しながら処理する能力のことで、いわば“脳のメモ帳”のようなもの。

この容量には明確な限界があり、心理学・認知科学の研究では
人間が一度に処理できるのは “4±1 個” が限界だと言われています。

つまり、
・情報が多すぎる
・まとまりが悪い
・文字サイズや余白が詰まりすぎている
 → これらはすべてワーキングメモリを圧迫し、ユーザーが途中で読むのを諦めてしまう原因になります。

逆にいえば、
「4つ以内にまとめる」「ひとかたまりに見えるレイアウト」にすることで、脳がスムーズに情報処理でき、記憶に残りやすくなるわけです。

記憶に残るレイアウトの原則

① 情報をチャンク化する

チャンク化(Chunking)とは、情報を意味のあるまとまりにグループ化する方法です。

例)
・電話番号が「00012345678」ではなく「000-1234-5678」と区切られている
・長文を段落に分ける
・メニューを3〜4カテゴリに分類する
・LPで「特徴」「メリット」「料金」「流れ」に分ける

これはすべて、脳が理解しやすい“まとまり”を作ることで負荷を下げているからです。

デザインでの応用
・余白でグルーピングする
・見出しをつけて情報に階層をつける
・図解で「まとめて一つ」に見せる
・箇条書きを4つ以内に抑える

結果的に、ユーザーはストレスなく読み進められ、その情報が“記憶”に移りやすくなります。

② 強調は1つだけにする

ワーキングメモリは容量が少ないため、強調ポイントが多いと、脳はどれが重要なのか判断できなくなります。

悪い例
・赤文字が多い
・ボタンが3つ並んでいる
・キーワードが多くて、どれを覚えればいいかわからない

良い例
・メイン情報は1つ
・CTA(ボタン)は1ページに1種類
・色の強弱を1〜2段階に絞る

デザインにおける“記憶の誘導”とは、
何を覚えてほしいかを1つに絞り、そこに視線と記憶を集める設計とも言えます。

③ リズムとパターンで覚えさせる

脳は、単調なものより“パターン”に反応します。
一度パターンを認識すると、次の位置を予測できるため、理解が高速になります。

デザインでのパターン例
・グリッドレイアウト
・一貫した見出しのサイズ
・画像→テキスト→CTA という繰り返し
・サービス紹介を「3つのポイント」で統一

この“リズム”を作ることで、ユーザーのワーキングメモリは無駄に消耗されず、
迷わず読み進められる → 記憶にも残りやすいという流れになります。

④ 言葉より図でまとめる

ワーキングメモリは、視覚情報の方が言語情報より高速処理できます。

そのため、
図解、アイコン、フローチャート、キャプション、比較図 などは記憶に残る最強の手法です。
特に概要や特徴などは、長文で書くより1枚の図にまとめる方が圧倒的に記憶されやすいのです。

⑤ 読み始めの3秒で全体像をつかませる

ワーキングメモリは、最初に何を読むのか理解できないと負荷が一気に上がります。

そのために必要なのは、
・冒頭に「この記事でわかること」を書く
・ページの上部に構図を示す
・アイキャッチで世界観とテーマを明確にする
・ナビゲーションを整理する

特にLPでは、ファーストビューで“内容の地図”を見せると離脱率が大きく下がるというデータもあります。

ワーキングメモリを意識すると…

ワーキングメモリは目に見えない概念ですが、
これを理解するとデザインの判断基準そのものが変わります。

従来
「どのデザインがキレイか?」

ワーキングメモリを知った後
「ユーザーの脳が処理しやすいのはどれか?」
「記憶に残りやすい情報量か?」
「まとめるべきチャンクはどこか?」

このような視点は、
LPの構成パンフレットの情報整理図解の作り方など、あらゆるクリエイティブ性に役立ちます。

記憶に残るデザインにするためのチェックリスト

  • 情報は4項目以内に分けられているか
  • 強調ポイントは1つに絞れているか
  • 余白やグループでチャンク化できているか
  • パターン(グリッド・リズム)は一貫しているか
  • 図解やアイコンで視覚化できる部分はないか
  • 冒頭で“全体像”を示せているか

これらを意識するだけで、ユーザーの記憶に残るデザインに近づきます。

まとめ

ワーキングメモリは、人が生まれながらに持つ“限られた能力”です。
その制限を理解した上で情報を設計すると、
・読みやすい
・わかりやすい
・覚えやすい
・行動につながりやすい
という、デザインの本質的な価値が生まれます。

記憶に残るレイアウトとは、
ユーザーの脳の仕組みに寄り添った“優しいデザイン”のこと。

デザインの美しさだけでなく、
脳科学的な“伝わる設計”を取り入れることで、成果につながるクリエイティブが実現します。

 

わかりやすさは、科学でつくれる。

 

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